【INA】「つつがない生活」読めば日常が愛おしくなる【感想】
トーチ出身のINA(イナ)先生による、二人の夫婦の日常を描いた漫画「つつがない生活」
第一話の「買い出し」では、在宅の仕事で不機嫌な妻(ユウ)と仕事を辞めた夫(イナオ)のやりとりから始まる。
丁寧に腰低く接する夫に対して、険しい形相の妻。
ピリピリする空気感が続き、夫のいってきますにもなんの反応もない様子。出かける夫の後ろ姿のなんと寂しそうなこと…
「この漫画、夫婦の悲しい日常を描いた漫画なのか…?」とヒヤヒヤするものの…
妻から渡された買い物リストには
〇〇の一言が…!
この一コマでこっちまですごく嬉しくなった!
第一話はこんな感じで明るくほっこりと大逆転で終わった。
2話目以降もそんな仲の良い夫婦のほんとに細やかななんてことない日常が織りなされていく。
自分は事件とかイベントとか何も起きない、本当に普通の日常を描いた作品が大好きだ。
というのも、昔の自分は、「毎日に何か華がないと生きてるって言えないんだ…!」と焦燥感や失望感に駆られて生きていた。
そういう気持ちで心がいっぱいになってしまうと、きれいな景色とか誰かの親切とかご飯が美味しかったこととか、いろんなことが知らないうちに通り過ぎていってしまうとどこかで気が付いた。
そんな状態じゃ、たとえ夢が叶ってもどこか満たされなくて虚しい気持ちになると思う。
人生の大半はその人なりの日常で構成されていて、そんな日常をどう感じるか、その中に何を見出すか、そういうことでどれだけ幸福感が得られるかが左右されるはずだ。
この漫画は読むと日常が愛おしくなる。
物足りないと感じるときはなにかを見落としているのかもしれない、そんなふうにも考えさせられた。