【藤子・F・不二雄】SF短編漫画「ひとりぼっちの宇宙戦争」ロボットになくて人間にしかないものとは…?!【感想】【ネタバレなし】
藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス7「ポストの中の明日」に収録されている、「ひとりぼっちの宇宙戦争」について紹介したいと思います。
★ラストのネタバレなし
主人公・鈴木くんはある日、地球を代表する戦士に選ばれてしまう。
特にこれといった特技もなく、自信もない鈴木くんはどこにでもいるSFが好きな男の子。
学級新聞のネタとして、近所の人がUFOを見たという証言を取材し提案するもボツになってしまう。
すっかり落ち込んだ彼のもとに同じ新聞部のえみちゃんが来て、「記事にはならなくても漫画を描いたらいいわ」と励ますと彼は自信を取り戻す。
家に帰って漫画を描こうとするも上手く行かない矢先に、いきなり時間が止まり、怪しい二人が現れて、地球の代表戦士に選ばれてしまう。漫画みたいなことが起こるわけだ。
闘いの始まりは明晩の0時。
ついにその時が来るも鈴木くんは納得できないまま闘いに巻き込まれていく。
鈴木くんが負けたら地球人は奴隷やペット、食糧にされてしまう…
相手は自分そっくりで知力も体力も同等のロボット。
闘う気まんまんのロボットに逃げ惑う鈴木くん。
隙を与えたロボットに剣を刺そうとする鈴木くんだが、殺すことを躊躇ってしまう。
その瞬間、腹を刺されてしまい、完全に諦めモードに入って絶対絶命のピンチ状態になるも…
眠り込んだえみちゃんの姿を発見すると勇気が湧いてきて…?!
■感想
ロボットにはなくて人間にしかないもの
それがこの漫画のテーマなのではないかと思った。
いつも自分に自信のない鈴木くんはえみちゃんと話すことで元気をもらっている。
これは鈴木くんにとってえみちゃんがかけがえのない存在だということだと思う。
そんなえみちゃんの眠る姿を見たことで闘う気力を奮い立たすことができたことから、
人間にしかないものは、好きな人のためなら頑張れるという気持ちではないかと思った。
藤子・F・不二雄先生の漫画の行き着く先は普遍的なテーマが多いように感じる。
それでいて説教臭くなくて物語として面白いからすごい。
そんな優しいエッセンスの詰まった短編集、まだ読んでいない方はぜひ。